続 丹波包丁日記 〜丹波栗〜
「都をば出でて落ち栗の芽もあらば 世にかちぐりとならぬものかは」
これは、丹波栗の原産地とされる、丹波市山南町岩屋地区の古刹「石龕寺」に
足利尊氏の息子が都を落ちて西国に去るときに身を寄せ、名産の丹波栗を植えさせた。
今後もその品種が残っているように、栗といえば丹波、丹波といえば栗。
栗は松茸とともに丹波の代名詞である。
栗の歴史は非常に古く、約5000年前とされる青森の「三内丸山遺跡」では、
当時から栗の栽培がされていたことがDNA分析により明らかになった。
栗は「日本食に」も記述されているが、昔は非常に高価で庶民には手が届かない高嶺の花で、
朝廷や幕府に献上されていた。
実はこの丹波栗、名前は全国ブランドでも生産量は極めて少なく、
国内の全収穫量のわずか1%しかない。
さらに輸入物も含めると、全流通量の0.25%にすぎない。
栗も新潟産コシヒカリと同じで、他府県産の物が丹波栗と名を変えて
多く出回っているのかもしれない。
日本料理では、「丹波蒸し」や「丹波揚げ」というように、料理名のことをいう。
栗はどのように料理しても美味しい食材だが、秋になると、うちの店でよく出すのが
「栗と地鶏のシチュー」だ。丹波や加美産の地鶏のガラで出しを引き、
そこに地鶏と栗を入れるのがミソである。これを小さな土鍋に移して直火かオーブンで
焼いて熱々を出す。
クリームシチューのようで、とても美味しいとお客様にも評判の一品だ。
スパゲティーのようなパスタに掛けて卵黄を混ぜると、和風のカルボナーラといった趣。
温いご飯にもよく合い、厨房の賄い食としても人気がある。
写真・文章
丹波市山南町にある日本料理・スッポン料理の
お店「茶寮ひさご」店主 真鍋馨様ご提供
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