続 丹波包丁日記 〜鰻と丹波古代米の笹寿司〜
衣替えが済んで、季節が夏に向かう頃から鰻の季節となる。料理人の私は、
専門料理が好みだ。鮨、天婦羅、蕎麦などと共に鰻には目がない。
いずれも江戸前の料理ばかりだが、本当に東のほうが旨いのだから仕方がない。
たまに所用で東京へ行くと、決まって食事はこれらの店を食べ歩くことになる。
そんな訳で今回は、かの魯山人も好んだ鰻料理を紹介する。
かつて私は、北大路魯山人ゆかりの老舗料亭で料理人の第一歩を踏み出した。
魯山人作の「竹葉亭」の看板を掲げた中ノ島の風雅な本店はすでに無く、
先日久しぶりに訪ねたら、近くに国立国際美術館が建っていた。
かつて魯山人は、竹葉亭の東京にある銀座本店と大阪の中ノ島本店へよく来たらしい。
魯山人は、東京の料理では、特に鮨と鰻を好んだ。
鰻だけは関東に軍配が挙がると言っているが、私も同感だ。
うちの鰻も江戸時代より続く竹葉亭ゆかりの調理法で、鰻を背開きにして
一度白焼きしてから蒸しにかけて、さらにたれをかけて蒲焼にする手間の
かかる焼き方をしている。
鰻を割いてそのまま焼くだけの単純な関西焼に比べて、一手間も二手間も
かかる江戸焼の鰻料理を出しているのは、丹波ではうちだけかもしれない。
今回は、古代米発祥の地とされる山南町で作られた古代米で作ったすし飯と
鰻の蒲焼を笹に包んだ「鰻と古代米の笹寿司」を作ってみた。
江戸焼きなので冷めても硬くならないので美味しく食べれることができる。
古代米のモチモチとした食感と笹の香りがより一層味を引き立ててくれる。
写真・文章
丹波市山南町にある日本料理・スッポン料理の
お店「茶寮ひさご」店主 真鍋馨様ご提供
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