続 丹波包丁日記 〜蓴菜(じゅんさい)〜
関西では、掴みどころのない人のことを「じゅんさいな奴」という。
じゅんさいは、水生植物の芽(若菜)のことであり、古名を沼縄「ぬなわ」といい、
主に東北、近畿の沼や池に繁殖する。
一説には、数百年から1000年以上経った沼でないとじゅんさいが生えないといわれる。
丹波では、私の住んでいる山南町の慧日寺の境内の池で目にすることができる。
近隣では、となりの多可町(中町)の曽我井や三田あたりの池や沼で採れる。
近年は、価格が安い中国からの輸入物も多く入っているが、国産のものに比べると、
色のよさ、ゼラチン質の厚さや味、風味ともに数段劣る。
じゅんさいの味わいは、若菜をくるんだ分厚い寒天質のぬめりそのものにある。
出始めの頃は、良いものは目の玉が飛び出るほどの値段がするが、
最盛期を過ぎると若菜が成長してコシが弱くなるので、高くても盛夏の間に食したい。
食べ方は至極簡単。生のじゅんさいを、熱湯に通してすばやく氷水で冷やした器に盛り、
二杯酢か山葵醤油をかけて食す。椀物の具にしても美味である。
写真・文章
丹波市山南町にある日本料理・スッポン料理の
お店「茶寮ひさご」店主 真鍋馨様ご提供
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