続 丹波包丁日記 〜 百合根饅頭うぐいす餡 〜
春の小鳥といえば、ためあうことなく私は鶯(うぐいす)を挙げる。鶯色といえば、
誰でも爽やかな緑色か黄緑色を連想するが、実際の鶯はもっと地味である。
日本料理のなかでも、鶯の名が付くものが色々ある。これはきっと、鶯が日本三名鳥のひとつで、
日本人の心の中に宿っているからであろう。
さっと思いつくのものだけでも、「鶯もち」「鶯粉(青きなこ)」「鶯まめ」など。
みんな、鶯のきれいな緑色をイメージしたものばかり。ほかには、
お正月の雑煮椀に使う若菜の鶯菜、珍しいところでは河豚の腹の中央にある鶯骨。
これは、骨の形が鶯に似ているからそう呼ぶ。
うちでは、春になると、「百合根饅頭うぐいす餡」という料理を作る。
これは、百合根を裏ごした生地で、海老や鶏の団子を包んだ百合根饅頭に
えんどう豆を湯がいて裏ごした美しい緑色の餡を掛けたもの。
春らしいやさしくて暖かい味の料理で、お客様にも喜んでいただいている。
写真・文章
丹波市山南町にある日本料理・スッポン料理の
お店「茶寮ひさご」店主 真鍋馨様ご提供
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