前回は、身近な食べ物のお話をしました。今回は、ピューと北風、寒〜い季節がやって来たので、かぜの話をしましょう。
「ふう風」の「じゃ邪」と書いて「風邪(かぜ)」と呼ぶのはわりと一般的になっていますね。「ふう風」は病気になる外因のりくいん六婬(風・寒・暑・熱・湿・燥)の一つで、先人はよく動き回り変化する様を自然界のかぜ風にあてはめそう表現したのでしょう。ウイルスなども「風」と表現しています。そういう意味ではインフルエンザウイルスなどまさに風邪です。
この風邪の治し方に東洋医学と西洋医学の違いがはっきりと現れます。たとえば風邪で発熱した場合、西洋医学では解熱剤を使いそして冷やします。
東洋医学では逆に身体を温め、体温を上げる葛根湯や麻黄湯を使います。そんなことしたら熱が上がって大変だって?!あわてないで、話はこれからですよ。
そもそも風邪で熱が出るのではなく、身体は熱を出してウイルスをやっつけようとしているのです。それを少し手伝ってやるのです。人間の身体には正常化作用があります。漢方薬で一時的に熱を上げると、体温調節中枢が働き、自然に発汗し解熱します。但し、どこまで熱を上げるかは患者さん一人一人異なります。ほんの少し体温が上がるだけで発汗する人には桂枝湯、中程度〜高い人には葛根湯など、高熱でもなかなか発汗しない人には麻黄湯など、風邪の発熱一つとってもまだまだ数多くの漢方薬が用意されています。漢方の風邪薬はTVCMの様に葛根湯だけではなく、また風邪の初期なら葛根湯が合うというわけではありません。
子供の頃風邪を引くと、アルコール分を飛ばしたあったか〜い玉子酒をおばあちゃんが飲ませてくれました。体があったまって汗かいて、着替えて、翌朝すっきり治っていたことを思い出します。ぼくはこっちの方がやっぱり好きです。
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