Bigムンムンのちょっと役立つ東洋医学

知って得する『味』の話 其の四
 


Bigムンムン
 

前回、酸っぱい味・『酸味』とそれに関係する『肝』についてお話しました。陰陽五行説の順番でいくと次は苦い味・『苦味』と『心(しん)』についてのお話になるのですが、季節的に冬に関係の深い、塩辛い味・『鹹(かん)味』と『腎』についてのお話をします。
『鹹(かん)味はミネラル塩』
 『鹹(かん)味』とは、あまり馴染みのない言葉ですね。これは塩辛い味・塩っぱい味のことですが、現在の食塩・純度の高い塩化ナトリウム(NaCl)の味を指すのではなくて自然のミネラル含む塩と考えたほうがよいようです。食べ物ではミネラル塩のほか、味噌、醤油と海のもので脊椎動物(魚類)以外のもの、たとえば貝類、蟹、ナマコ、海草、昆布などです。鹹味の働きには、『潤す』働きと『軟らかくする』働きがあります。前回述べた『酸味』の『潤す』働きより『鹹味』のほうがはるかに強いです。ボディービルダーがコンテスト前に塩分を極力控えるのは筋肉の盛り上がりや区分をはっきりと美しく見せるためで、塩分を取ると筋肉は柔らかくなりキュッとした締りがなくなります。
『鹹(かん)味は腎の燥を補う』
 鹹味に関係の深い臓腑は『腎』です。『腎』は冬によく働きます。ここでいう東洋医学的『腎』は、西洋医学でいう解剖学上の『腎臓』だけを指すのではなくて、腎臓、副腎、膀胱、生殖器、泌尿器の総称ともいうべき概念で、体内の内分泌系の調整や大切なエネルギーと栄養物質を蓄え補う役割も含んでいます。もし冬に『腎』の陽気が弱っていると身体全体が冷えて、冷え症、腰痛、頻尿、むくみなどがおこり、陰気(精気)が不足するとかすみ目や皮膚の乾燥、かゆみ、しびれなどがおこります。寒くなると血圧が高くなるという人も『腎』の弱りの場合が多いです。高血圧に塩は駄目じゃないか!と言われそうですね。高血圧にもいろいろなタイプがあります。また、鹹味はバランスの取れたミネラル塩や醗酵物の塩です。適量取るのには問題はありません。むしろ化学薬品のような塩化ナトリウムを食塩として取ることが問題です。でも、ミネラル塩はいいからといって摂り過ぎはやっぱり駄目ですよ。「過ぎたるは及ばざるが如し」専門家に相談してくださいね。
寒さに弱いという人は『腎』が弱っているのかもしれません。鹹味を補ってください。札幌ラーメンに味噌味が多いのは『腎』を働かせて身体を温め、冬の乾燥にたいして『潤す』からかもしれませんね。ちなみに九州の豚骨ラーメン、沖縄で豚がよく食されるのは豚の涼(牛肉は温)の性質からだと思います。味の相剋の関係からいうと、塩辛すぎたものには甘味を足せば和らぎます。(味噌汁に芋類(甘))。 また、苦いものには鹹味を足せば苦さが薄れます。(ゴーヤ(苦)に塩豚)。甘いものには苦味(和菓子にお茶)。不思議な味の三角関係です。この冬は温かいお味噌汁や味噌仕立てのお鍋で『腎』を補い寒さを乗り切ってください。辛味を加えるといっそう温まりますよ。

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