前回までに一年を通して四季それぞれの養生法をお話してきました。これからは、私達の生活に身近な食養生についてお話します。具体的な話に入る前に、東洋医学の大切な概念(考え方)、『身土不仁』を知ってもらいたいと思います。
東洋医学には『宇宙』という基本概念があるのが特徴です。『宇宙』には大宇宙と小宇宙があります。その大宇宙の中には更に大宇宙と小宇宙があります。同様に小宇宙の中には更に小さい小宇宙があり、永遠に続きます。少しややこしいですか????
例えば、大宇宙は自分を囲む自然界だと考えてください。小宇宙は自分自身となります。生物は、周囲の環境に左右されて変化してきました。西表島のイリオモテ山猫は、大陸と陸続きの時に渡って来た大陸の山猫です。しかし、数千年という間に西表島の環境の中、西表島の食べ物を食べ、独自の変化を遂げてきました。こういう例は、自然界では当たり前のことです。
小宇宙である生命体は、環境という大宇宙に生かされています。
北海道と沖縄では気温が違います。人間は恒温動物です。当然、一定の体温を維持しようとする為、北海道と沖縄では発熱量・発汗量が異なってきます。消費カロリーが変わり、エネルギー産生に伴うビタミン・ミネラルの消費が変われば、住む場所によって食べ物が変わって当たり前です。
小宇宙である人間は、環境という大宇宙に合わせて生きていきます。これが『身土不仁』です。
住む所で食べ物が変わり、生活が変わります。
季節によって食べ物が変わり、生活が変わります。
細かく言えば、朝夕でも変わります。
年齢が変われば食物も変わり、生活も変わります。
自分の住んでいる土地(60km)四方で取れる食材を食べるのが基本です。
季節に応じた旬の物を食べます。その食材の全盛期がよく、ハウス物、早取り物は避けます。
つまり、丹波の人は丹波で取れるものを季節に応じて旬に頂くのが、最も良い養生法です。
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