Bigムンムンのちょっと役立つ東洋医学

知って得する『味』の話 其の六
 


Bigムンムン
 

前回、苦い味・『苦味』と関係する『心(しん)』についてのお話をしました。今回は『甘味』と関係する『脾(ひ)』についてお話します。
『あまぁ〜い』と緩みます
  『甘味』は緊張をゆるめます。仕事が一段楽した時、ブレイクタイムに甘いものを一口取ると、ほっとして心も身体もほぐれますね。甘いものが大好物で、スイーツを想像しただけで、お顔までゆるんでいるあなたも例外なくそうですよね。漢方薬の葛根湯には辛い生薬のほかに、甘いなつめ(大棗・たいそう)が入っています。辛い生薬で温め、甘いものでこわばっている体表をゆるめて発汗しやすくしたり、肩こりを取ったりするために加えているのです。前回お話した『苦味』とは逆に、人は『甘味』には比較的鈍感です。だからついつい大量に取りがちです。また、子供は甘いものが大好きです。『甘味』は『脾(ひ)』に働き、『脾』は後天の精といってエネルギーを生み出すのにとっても重要なので、子供に『甘味』を与えるのは良いことですし、活発な子供が欲しがるのも当然といえます。しかし、そのとき白砂糖の人工的な甘味でなく、果物のような自然の甘味や噛めば噛むほど甘くなる穀物などを与えるのがいいでしょう。『甘味』に属する食べ物には、甘い果物、蜂蜜、砂糖、米、豆類の大豆、赤小豆、ゴマ、トウモロコシ、芋類のサツマイモ、ジャガイモ、山芋(但し、サトイモは辛)、黄色野菜のかぼちゃ、人参、アクのない野菜の白菜、トマト、菌糸体として椎茸などがあります。
『甘味』は『脾』に働き補う
甘味に関係の深い臓腑は『脾』です。『脾』は西洋医学で言う脾臓とは違い、胃、十二指腸、小腸、膵臓などの消化器全般の機能を指しています。卑とは、大事なものをしまっておく器、即ち、栄養源になるお酒をしまっておく酒器で、とっくりのような形をしている膵臓をみて脾と名づけたものと思われます。脾を病み栄養が不足すると異常痩身になったり、逆に甘いものを取りすぎ栄養過多になると脾を破り、肥満や糖尿病になったりします。
また、脾は湿を嫌いますので、暑い夏に水をがぶ飲みして脾がくだびれると夏バテの原因になります。脾は土用によく働きますので、夏バテ防止に甘いウナギの蒲焼を食べるのもここから来ています。ちなみに、立夏の前が春の土用、立秋の前が夏の土用といった具合に、土用は各季節にあり、期間は各18日間です。この期間に体調が悪くなる人は『脾』に原因があるのかもしれません。
最後に、和菓子の職人さんが理想とする甘味は干し柿の甘さだといいます。甘すぎるものを取っている現代。甘味に麻痺して危険です。甘味を取って緊張だけでなく、ベルトの緩んでいるあなた、ちょっと注意してくださいね。

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