Bigムンムンのちょっと役立つ東洋医学

生活に身近な食養生6
 


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前回、春の養生法を食の面からお話しました。さて、夏も終り、いわゆる『夏ばて』の出る頃ですし、身体が弱っていると、食あたりで蕁麻疹や食中毒、食欲不振と身体の不調を訴える人も少なくありません。そこで、今回は身近な食品で漢方薬にも生薬として使われる『紫蘇(しそ)』についてお話します。
  夏ばて予防に紫蘇ジュースをご家庭で作って飲んでおられる方も多いと思います。紫蘇には大変便利で有用な働きが沢山あります。
紫蘇には肉や魚の生臭さを消すばかりでなく、食欲を亢進させる効果もあります。「生魚に加えれば魚毒をころす」とさえいわれるほどです。実際、海産物が原因で出た蕁麻疹には香蘇散(こうそさん)といって紫蘇を使った漢方薬が良く効きます。ちなみに、豚肉や牛肉など陸のものでの蕁麻疹には葛根湯加石膏証(かっこんとうかせっこう)が多く良く効きます。
  また、紫蘇は「気を下し、胸に水毒を使えているのをなおす」といわれるように、精神安定作用があります。神経症、不眠、喘息、風邪などのときに用います。これについては前回にも触れましたね。
  もともと紫蘇は昔、紫蘇の種子からしそ油を搾りそれを燃やして明かりとして使用していました。当時、えごまのえ油よりも明るさ輝きが断然すぐれていたからです。また、しそ油には細菌類の繁殖を抑える制菌作用があり、しょう油などの防腐剤として用いられています。また、しそ油に含まれているリノール酸には、動脈硬化を防ぐ作用があるといわれています。
  『本草綱目』では、紫蘇の葉は「辛温無毒」と記載され「辛味があって体を温める作用があり、皮膚をゆるめ、表に発散させる。風寒を散らせ、気をめぐらせて、胃腸をくつろげ、痰を消し、肺をよくし、血をやわらげて腹部を温める。痛みを止め、咳を安定させ胎児を落ち着かせ、魚や蟹の毒を解毒し、蛇や犬にかまれた傷を治す」としています。
  漢方では発汗、解熱、鎮咳、鎮静、利尿などの作用を利用して、感冒、気管支炎、喘息、神経症などに応用しています。紫蘇の入った漢方薬もたくさんあり、前出の香蘇散、半夏厚朴湯など20種類近くあります。
紫蘇の収穫時期は6月〜9月です。お寿司やお刺身についてくる紫蘇は単なる飾りではありません。ちゃんとした意味・役割があります。この時期に紫蘇を上手に使って、夏ばて解消、健康増進につなげてください。

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