前回、熱中症対策についてお話ししました。早いもので、今回はもう寒さ対策についてお話しする季節になってしまいました。
生野菜は体を冷やす…→○ 温野菜は体を温める…→×
生野菜は体を冷やすことが多いので、それを温野菜にすれば体を冷やさない。だから冷え性の女性には温野菜をという人がいますが、それは正しくありません。一般に葉野菜など生野菜をサラダで食べると体を冷やすことになります。特にその野菜の旬が夏であれば冷やす力は強くなります。たとえばきゅうりなどのウリ科のものやトマトなどは冷やす力が強いといえます。この他に葉野菜は葉に含まれるシリカの影響か、全般的に冷やすものがほとんどです。これを煮炊きしたからといってその冷やす性質が暖める性質には変わりません。漢方薬にも炎症を抑えたり、冷やしたりするときに用いるお薬があります。漢方薬も元の生薬は、草木の根っこや幹、葉っぱなどです。もし、火や熱を加えたら暖める性質に代わるというなら、漢方薬を煎じればすべて暖める薬になるという理屈になります。それでは用を足しません。冷やす性質のものはいくら熱を加えてもその性質は変わりません。
冬には根菜類を多く取りましょう
以前、冬の養生法でお話したように、冬の3ヶ月間を閉蔵(へいぞう)と言い、万物が静かに沈み消極的になる時で、収納、貯蓄される時期です。この季節は土の中に出来る野菜・根菜類をとることをお勧めします。根菜類は一部の例外(ゴボウ)を除いておおむね暖める働きがあります。また、味の面からお話しすると、苦いものは冷やす働きがあり、辛いものは暖める働きがあります。けんちん汁やキムチ鍋はもちろん温まりますが、葉野菜でも生姜や唐辛子を薬味に使って食べると温まります。
今夜はお鍋を囲んで、薬味をたっぷり用意して、ビール(苦)でなくお酒(辛)の熱燗で一杯やって温まってください。
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