自然保護の知識と行動

目に見えるゴミ・目に見えないゴミ その2
 



 

 フロンは日本での呼び名で世界的にはフレオンと呼ばれています。
フロンは二酸化炭素とちがい昔から自然界にあった物質ではなく人間がつくりだした化学物質です。


今ではフロン(CFC)というとオゾン層の破壊と結びつく物質といわれ製造も使用も禁止されていますが、ごく最近までいたるところで使われていた物質です。

もともとは冷蔵庫の冷媒としてアメリカで開発され人体には無害と言われ、当時は「夢の化学物質」と言われ高く評価されていました。
アンモニアに変わり、冷蔵庫・エアコン・カーエアコンやスプレーなどにも広く使われ生活に密着した商品が次々と開発されたのです。家庭用品以外では半導体の洗浄や工業用にも広く使われてきました。特に弱電業界でよく使われてきた化学物質です。

大気中に放出されたフロンは紫外線によって分解され、塩素原子が発生します。

その塩素原子がオゾンを分解し酸素分子と一酸化塩素ラジカルになるのです。

このとき発生した一酸化塩素ラジカルは再びオゾンと反応して、塩素ラジカルへと戻ります。このことが繰り返されることによってオゾン層が大きく破壊されるのです。

また、フロンガスは二酸化炭素と同じように温室効果をもたらし地球温暖化に影響するガスです。

特定フロンがオゾン層を破壊する物質であることが判明してから、それに変わる物質として登場した代替フロン(HCFC・HFC)でしたが、残念ながらオゾン層破壊の影響は少なくなりますが二酸化炭素(CO2)の数百〜1万倍以上温室効果を持つ物質とわかり規制されています。
化学物質は私たちの生活を便利に豊かにしてくれるものとして次々と開発されていますが、原材料が地殻の中に長く閉じ込められてきた物質であり地表で分解したり合成したりすると地表生物に大きな影響を与えます。
フロンガスは、人間には無害と思われてきましたが、オゾン層を破壊する物質となり結局は生物に影響を与えることとなったのです。

フロンの製造や使用は禁止されましたが、それでオゾン層破壊が止まったわけではなくその影響はこれからも続きます。
「夢の科学物質」が皮肉にも人類に皮膚ガンや白内障などの心配の種を残すことになりました。私たち人類は、心して慎重に化学物質を使わなければならないということがわかったのです。

フロンの廃止に至るまでの長い科学者の意見や議論や経緯を見ると、目に見えないゴミの排出を止めることは、目に見えるゴミを減らすことに比べ、はるかに難しいということがよくわかります。

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高見豊

日本野外生活推進協会

 

 
 
 
 
             
 
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