自然保護の知識と行動

自然とは・・・
 



 

「自然」という言葉は、山や川や田園風景を表す時よく使われるのですが、では「自然」とは何かと、あらためて定義を問われると困ってしまうことがあります。辞書で「自然」という単語を調べると、@人間の力の加わらないありのままの状態 Aこの世の全てのもの・天地万物 B人間や物に基からそなわっている性質などと書かれています。また、「自然」の反対語として「人工」と書かれています。

都会からこられた方から「丹波は自然がいっぱいあっていいですね」とよく言われます。その場合の「自然」とは何をさして「自然」と言っているのでしょうか? たぶん「緑がいっぱいでいいですね」と置き換えることができるのではないでしょうか。しかし、自然を@の人間の力の加わらないありのままの状態と定義して考えると、今まで自然だと思っていたものがそうではなくなっていきます。人工林・コンクリートで固められた河川、田や畑、公園などなど・・・・。
人の手が入っていない所だけが自然であるとすると、丹波には自然がほとんど無いということになります。では「丹波は自然がいっぱいあっていいですね」というのはお世辞でしょうか、それとも自然とは何かを知らずに言っているのでしょうか。緑の生き物は成長を太陽のエネルギーに任せ、大気の循環と水の循環に委ね土に根を張り生きています。

その意味では人間が手をくだす部分は少なく自然に依存しています。
人間は木を植え、お米や野菜などを栽培しているので、自然をコントロールしていると思っていますが、植物は光合成によって自らの力で大きくなっていくで、それを利用し依存する私たちは、自然の仕組みの中で生かされているのです。Aのこの世の全てもの・天地万物やBの基からそなわっている植物の性質にゆだねていることを考えると、山で管理している植林や稲作や畑で作る野菜なども人間が支配しているものの、半分は自然の力にゆだねているので、半分は自然です。「半自然」ということになります。河川や公園や庭園や花壇や管理している緑地なども全て「半自然」と言うべきかもしれません。

今回は自然という言葉のもつ意味と現実について書いてみましたが、
自然とは何か、守らなければならない自然とは何か。価値ある自然とは何か。
そのようなことを考えることは、自然保護を考える上で大変重要なことです。あらためて自然とは何か、一度ゆっくりと考えてみてはどうでしょうか。

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このシーリズは、身近な自然知識を紹介しています。

高見豊

日本野外生活推進協会

 

 
 
 
 
             
 
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