たんば風景街道 〜里の情景・文化の薫り〜

 

たんば風景街道とは…

兵庫県丹波地域では、古より情緒あふれる豊かな里の文化が育まれ、また、それを受け継ぎ次世代に継承する活動が盛んに行われています。これを、アメリカで生まれたScenic-Byway(風景街道)の観点から、ここ丹波の地で、「訪れる人」と「迎える地域」の豊かな交流を通し、地域コミュニティの再生、地域間交流の促進、さらには歴史・文化の保持継承を図るものが、『たんば風景街道』として私たちが取り組むものなのです。

丹波には、Tデカンショ街道 U丹波の森街道 V水分れ街道 の3つの大きな街道があり、これを「丹波三街道」と呼んでいます。

Tデカンショ街道:篠山市を東西に横断する国道372号線
U丹波の森街道:国道176号〜県道青垣柏原線〜国道427号へと丹波の中央を南北に走る幹線道路
V水分れ街道:国道175号の丹波市山南町から水分れを通り京都府福知山市に抜ける幹線道路

 

T.デカンショ街道

西野々の風景美化活動
ひおき軒先ミュージアム
水無月祭
住吉神社の祭り・照葉樹林
熊野新宮神社
野草による地域緑化
南新町の取り組み
丹波古民家再生プロジェクト



U.丹波の森街道

大国寺と丹波茶まつり
丹波並木道中央公園の古民家
丹波並木道中央公園での赤米・黒豆づくり

蔓を使った花かごづくり
古民具でアレンジ
北野新田の『丹波たんころ』

柏原八幡神社の厄除大祭
城下町柏原の文化・自然

東芦田の地域活動



V.水分れ街道

篠山層群
丹波の森公苑の裏山散策
水分れ公園

黒井城跡

三尾山の風景
草花による道景色づくり


 
T.デカンショ街道
 

リンドウの植栽

西野々の風景美化活動              (地図)

篠山市西野々地区で、西野々自治会とまつもり会により行われた、街路樹の間引きと移植作業です。

デカンショ街道に沿って植栽されているカツラの木が成長し、間引きが必要となりました。そこで、未利用地の公園に間引きしたカツラの木を移植し、「まつもり花公園」が誕生しました。

その他、街道沿いにリンドウなどの花を植えるなど、美しい景観づくりに努めています。このように、西野々の風景美化活動は、丹波地域における地域を挙げてのまちづくり活動の代表例のひとつです。

 

ひおき軒先ミュージアム

ひおき軒先ミュージアム             (地図)

篠山市日置地区にて、日置里づくり協議会により、街道沿いの景観を美しくしようという趣旨のもとで行われた取り組みです。

道行く人々の賑わい、美しい景観のある町並みを取り戻したいと考え、地元の有志が「ひおき軒先ミュージアム」を開催しました。着物を簾代わりに飾ったり、使わなくなった壷に花を活けるなど、自由な発想で軒先に「おもてなし」の空間を創り出しました。

 

 

上から 山車、住吉神社

水無月祭                      (地図)

丹波は古くから祭り・工芸など伝統文化が大切にされ、今に継承されています。

左の写真は、毎年7月最後の土日の両日、篠山市川原の住吉神社で開催される『水無月祭』の山車のひとつ「菊水山」です。この祭りでは、五台の山車が宮入りし、「打込囃子」を奉納します。
「打込囃子」は、2004年、12年ぶりに復活したものです。これは、江戸期の天保年間に作られたとされ、戦時を除く毎年行われてきましたが、少子化の影響で1992年から、テープで代用していました。

山車は現在五台あります。(本来は六台ですが、そのひとつは、昭和45年頃に老朽化で修復不能、解体となったそうです)

 

上から 本殿、社叢林

住吉神社の祭り・照葉樹林            (地図)

篠山市今田町上小野原にある住吉神社は、1317年、大阪の堺にある住吉神社の分霊を祀ったものです。神舞の蛙踊りは10月4日の宵宮に行われ、「カエロ、カエロ」といって飛びはねるような動作をすることから「カエル踊り」とも呼ばれています。素朴な踊りであり、田楽の姿をよくとどめているとされます。「休み」「こつ」「しこう」の総田楽と締太鼓役が行う「いず舞」があります。地域の神舞保存会の方々により舞いが行われます。

社叢林はウラジロガシ群落であり、シイノキなども多く生えます。兵庫県レッドデータブックCランクに指定されています。これは、丹波地域の潜在植生たる常緑広葉樹林に近い形を保った貴重な植生です。

今田町には、本荘や木津(こつ)などにも住吉神社がありますが、これは応仁の乱(1467〜1477)の後、小野原荘の勢力範囲が現在の今田町全域に広がったことに由来します。荘内には住吉神社が8社造られました。

 

 

 

熊野新宮神社

熊野新宮神社                  (地図)

大宝2年、紀州熊野より、熊野本宮大社を小野奥谷の奥山に、熊野那智大社を貝田に、そしてここ篠山市二之坪に熊野速玉大社が勧請されたとされます。

小野奥谷のものは二度なくなりましたが、延宝6年(1678)に再建され、現在に至ります。

毎年8/31、9/1に、ここ熊野新宮神社で八朔祭が行われまる。農作物奉納の風習をもとに、後に7台の山車の宮入が行われるようになりました。囃子はありません。篠山市指定無形文化財です。

熊野速玉神、伊弉冉尊、事解男尊を祀ります。


 

道路の緑化活動

野草による地域緑化               (地図)

篠山市吹新地区において、美たんばネットと生活協同組合コープこうべにより、野草による地域緑化活動が行われました。

これは、企業と地域団体が協働して地域を美しくしようという取り組みであり、丹波の自生種を中心とした野草を道路脇に植栽することで、風景美化に「丹波らしさ」を取り入れた事例です。

 

 

雲紋竹の加工風景

南新町の取り組み                (地図)

篠山市南新町で、南新町自治会により行われた、雲紋竹という篠山独自の竹を利用して地域の景観を美しくしようという取り組みです。

篠山城南堀沿いに雲紋竹が生えています。これは、竹に積雲状の独特の模様が幾重にも入っているもので、種類は普通の竹と同じですが篠山以外の地域に移植してもほとんど生じないものです。別名、丹波斑竹と呼ばれます。

この雲紋竹を切り出し、公園のプランターや竹細工、篭などをつくり、花をそこに植えるなどしたものを地域各所に設置し、風景美化に努めました。

 

丹波古民家再生プロジェクト現場(篠山市立町)

丹波古民家再生プロジェクト           (地図)

丹波は、古くから京の玄関口として、美しい森と情緒溢れる里の風景が人々の心の乾きを癒してきました。この丹波の「人の匂い」と「文化の薫り」の溢れる古民家が、今、少しずつ失われています。この丹波の美しい風景・町並みを、今の時代に問い直し、後世に伝えるため、著名な建築家である才本謙二氏ら、地域活動に対し熱意ある方々のご指導・ご協力のもと、一歩ずつ、古民家の保存・継承へ向け動き出しています。

丹波古民家再生プロジェクトは、NPO法人たんばぐみの主催のもと、毎月第1・3土曜に開催しております。詳細はNPO法人たんばぐみ事務局までお問い合わせ下さい。

 
 
U.丹波の森街道
 

上から 大国寺、茶壷道中

大国寺と丹波茶まつり              (地図)

毎年6月上旬、篠山市味間奥にて大国寺・丹波茶まつりが開催されます。丹波は、お茶の名産地。濃厚な味の丹波茶は、大部分がここ篠山の味間奥で栽培・生産されています。

一番茶の季節に、茶まつりは開催されます。茶壷道中、盆栽店、煎茶・抹茶のお茶席、茶摘み・手揉み体験、民俗芸能、即売会など、初夏の楽しいひとときをお楽しみ下さい。

なお、大国寺は国指定重要文化財です。例年、この祭りの日に無料公開が行われます。

 

茶摘み風景

 

古民家(丹波並木道中央公園)

丹波並木道中央公園の古民家(旧中道邸)  (地図)

旧中道邸は、木造、草瓦交葺、平屋建の、明治初期の庄屋宅です。篠山市大山新集落に建っていたものですが、諸々の経緯があり、丹波並木道中央公園内に移築することになりました。

この邸宅は、全体的に規範に忠実に従うのではなく、独自の工夫を凝らして建築されており、明治維新後の自由な風潮に由来する特徴が随所に感じ取れます。現存する数少ない近代初頭の豪壮農家邸宅であり、貴重な文化財です。

丹波並木道中央公園の古民家は様々な公園のイベントに使用されています。(シューベルティアーデ丹波丹南街角コンサート、小学生の環境学習発表会、子どもサークルの遊び場など) 詳細はこちらをご覧下さい。

 

上から 赤米稲刈り、黒豆定植

丹波並木道中央公園での赤米・黒豆づくり  (地図)

丹波並木道中央公園では、赤米や黒豆づくりを行っています。19年度は18年度に引き続き、赤米は観賞用のカンニホと食用のベニロマン、そして丹波黒大豆を植える予定です。

植え付けから収穫まで、随時プログラムを実施しています。皆様のご参加をお待ちしております。詳細はこちらをご覧下さい。

 

カンニホ(観賞用赤米)

 

※ 丹波並木道中央公園は平成19年秋に開園予定です。

 

 

蔓をつかった工芸

蔓をつかった花かごづくり            (地図)

篠山市西谷地区で、女性グループや葛のつる工芸研究会により行われたものです。

葛のつるという、身近にありながら見過ごされてきた素材を使って丹波の美しい景観をつくろうという試みです。昔ながらの素朴さや自然な感じを醸し出す工芸品に花を飾り、地域各所に設置することで、丹波らしい柔らかで趣深い雰囲気をつくろうと、皆さん頑張って作業をしました。

 

 

沿道の美しい風景づくり

古民具でアレンジ                (地図)

篠山市杉地区(舞鶴若狭自動車道丹南篠山口ICの周辺地域)にて、杉地区まちづくり協議会と三田屋、牛屋たなか、山くじら亭など近隣の飲食店とが協力して行いました。

丹南篠山口IC近くの通行量の多い道路周辺の景観を美しくするため、古民具に花を添えて道路脇に設置しました。この道路は地域外からの丹波篠山への来訪者がよく通る道であり、「丹波らしさ」をアピールできる美しい道路風景づくりを行いました。

 

 
   

灯篭『丹波たんころ』

北野新田の『丹波たんころ』            (地図)

北野新田は、20世帯あまりの集落であり、高齢化が進んでいます。かつての山陰街道があり、一里塚の道標もあるなど面影が残っていますが、現在は閉鎖的なブロック塀が建っているなど、丹波らしい景観が失われつつあります。この北野新田で、もう一度旧街道としての魅力を復活させたいという地域の熱意があり、屋号が映える手づくりの灯篭、『丹波たんころ』を旧街道に並べる取り組みが始まりました。

 

 

上から 八幡神社境内、境内での舞踊

柏原八幡神社の厄除大祭            (地図)

柏原の八幡神社では、毎年2月17・18の両日、厄除大祭が開催されます。これは、三丹一(三丹とは、丹波、但馬、丹後のこと)と呼ばれ、毎年約10万人の参拝客で賑わいます。

宵宮の「青山祭壇の儀」は全国でも最古の厄除け神事とされ、神秘的な雰囲気を醸し出します。参道には数多くの露店が並びます。

 

御神水

 

上から 木の根橋、柏原藩陣屋跡

城下町柏原の文化・自然             (地図)

天然記念物の樹齢1000年のケヤキ(木の根橋)、やぐら公園、そして国指定史跡である柏原藩陣屋跡があります。同時に、まちづくり活動も盛んで、地域を挙げての歴史・文化・芸能の保存継承活動が行われています。

八幡神社社叢林は、ツブラジイの生い茂る常緑広葉樹林であり、丹波地域の潜在植生に近い貴重な植物群落を形成しています。兵庫県の環境緑地保全地域に指定され、「ひょうごの森百選」や「ひょうご風景百選」にも選ばれています。また、ツブラジイ群落は兵庫県レッドデータブックのCランクに指定されています。

 高谷忠魂殿のツブラジイ

 

江古

東芦田の地域活動                (地図)

丹波市青垣町の東芦田では、地域のむらおこしグループが中心となって、日本人のこころの故郷である田舎の原風景を残し、人々がのんびりと安らげる場所を再生しようと活動しています。豊かな動植物に恵まれ、四季の移ろいを心地よく肌で感じ取れるような、そういう地域づくりを目指しています。

夏空の下、花咲く大輪のはすの合間を縫って流れ来る涼風を感じてもらいたいという願いから、はすが生え、めだか、タニシ、かえるなども一体となって生息している場所(江古花園)を確保するなど、環境保全活動にも積極的に取り組んでおります。

 
 
V.水分れ街道
 

いずれも 篠山川周辺(篠山層群)

篠山層群                    (地図)

2007年初頭、丹波地域で「恐竜の骨が発掘された」とのニュースが流れました。これは、ティタノサウルス類と見られる草食恐竜の肋骨、尾椎、血道弓など、さらに獣脚類の歯などが、篠山川沿いの「篠山層群」から発掘されたことを指します。

白亜紀前期(1億4千〜2千万年前)の地層から発掘され、本来地形の変動などにより形の崩れやすい化石が、ほぼ原型のまま発掘されたこと、また全身骨格に近い化石が埋まっている可能性が大きいことから、地元住民をはじめ、専門家等も今後の発掘に大きな期待を寄せています。

 

川代公園の吊り橋

 

丹波の森公苑の裏山から(展望広場からの眺め)

丹波の森公苑の裏山               (地図)

丹波の森公苑の裏山は、里山林で、ハイキングをすれば柏原の街並みが一望できます。人が歩きやすいように管理した人工林ですので快適ではありますが、野生動物はいるので注意しましょう。登りは、やはり傾斜が急な分、しんどいと思います。ただ、展望広場からの眺めは非常にきれいです。道は多くあるので迷わないよう注意しましょう。また、傾斜が急な道も多いです。

夏にはクワガタムシなども見られますが、樹液にはオオスズメバチなども集まりますので、いたずらに近づかないようにしましょう。また、真夏は日射病・熱射病に注意しましょう。

 

水分れ公園

水分れ公園                    (地図)

氷上町水分れは、標高約95メートルであり、日本一低い中央分水界です。これを記念して、水分れ公園が建設されました。

高谷川がふたつに分れ、瀬戸内海(加古川経由)、日本海(由良川経由)の両方に注ぎます。4月の高谷川沿いの桜も有名で、毎年多くの花見客で賑わいます。

 

 

上から 猪ノ口山山頂、山頂からの眺め

黒井城跡                     (地図)

黒井城跡は別名保月城(ほげつじょう)跡と呼ばれ、国指定史跡です。猪ノ口山(標高356メートル)の山頂にある山城で、南北朝時代の建武2年(1335年)にその歴史が始まります。その後、約200年間数代の城主をへて、天文23年(1554年)萩野(赤井)悪右衛門直正が城主となり、その勢威の拡大とともに、全面的に大改修の手を加えたのが現在の黒井城跡です。

本丸の部分には、野面積みに石垣をつみ上げ、また、山中のいたる所に土塁・堀切りなどの防禦施設が埋もれています。そのため、周囲約10キロメートルにおよぶ猪ノ口山系全体が巨大な城塞となっています。

天正7年(1579年)8月、明智光秀の大軍の前に落城しました。その後400年余りの間人の手を加えられることなく、今でも戦国時代の山城の様子をはっきりとした形で残しています。(登山口案内板の文章を要約)

この山は、山頂までの距離はそれほどありませんし、比高242mでありそれほど高く登るわけでもありません。もっとも、傾斜がかなりきついため、無理をせずにゆっくりと登る方がいいでしょう。また、念のため、野生動物避けの鈴などを携帯しておいた方が無難です。


 

三尾山

三尾山                      (地図)

西多紀アルプス西端の里山です。山頂には三尾城跡があります。標高586メートル。歴史的には、明智光秀の丹波攻めにより天正6年(1578)に落城しました。

非常に傾斜がきつく、また大きな岩が露出した、無骨な雰囲気の山です。その美しい山容が、今も地元の人々に深く愛されています。

 

 

 

野草を植栽する様子

草花による道景色づくり             (地図)

春日町東中地域にて、美たんばネットと進修小学校により行われた、草花で美しい道景色をつくるという風景学習プログラムです。

子どもたちが自生種を中心とした野草を採取し、その特徴を学習しました。そして、道沿いなどに採取した草花を植え、美しい景観づくりを行いました。

 

 
 

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